かわむら整体院です。

当院での整体は、「骨格矯正」と「自然治癒力活性化」をおこなうことで、みなさまがご自分の回復力で不調を改善できるようなお手伝いをしています。

このような当院の整体である「骨格矯正」は、僕が理学療法士として病院に勤務していた頃に習得した「関節ファシリエーション(SJF)」という技術をベースにしています。

 

今回は、この「関節ファシリテーション(SJF)」の成り立ちについて解説していきます。

 

関節ファシリテーション(SJF)の概略

まず簡単に、関節ファシリテーション(SJF)について説明します。

関節ファシリテーション(SJF)は、関節の機能障害というものを改善する目的で、理学療法士である宇都宮初夫氏によって開発された関節包内運動の促通技術です。

宇都宮初夫氏は、博田節夫医師と共同でAKAという技術を開発していましたが、理学療法技術を向上させるために、AKAをさらに改良してSJFを開発しました。

 

AKA博田法とは

AKA(ArthroKinematic Approach;関節運度学的アプローチ)とは、物理医学の専門家である博田節夫医師が宇都宮初夫理学療法士と共同で1984年に開発した関節に対するアプローチ法です。

体の不調の多くは、主に仙腸関節の機能障害にあるとして、仙腸関節に対して独特なアプローチ法を開発しました。

 

この技術確立には運動学と運動療法の発達に関する歴史的背景があります。

1950年代までの運動学は、ダイナミック(動的)な運動の中での運動力学と運動学をベースとしており、それに対して筋肉や腱に対するアプローチが運動療法の主流でした。

1960年代に入ると、運動力学は神経生理学的な考え方を取り入れ、運動学においては関節包内の運動を考えるようになってきました。
AKAはこの頃から研究されるようになっています。

それに伴って運動療法技術も、PNFやボバース法などの神経と筋肉の促通技術が主流になってきました。

1970年代になると、関節運動学という考え方が取り入れられるようになってきて、1984年にAKAが開発されました。

さらに1980年代以降は、基礎医学に生物学的な考え方を取り入れるようになり、次のような発展をします。

  • 筋生物学的アプローチ(MBA):1980年代
  • 神経生物学的アプローチ(NBA):1990年代
  • 関節生物学的アプローチ(ABA):2000年代

 

このような歴史的な変遷があるのですが、残念ながら日本ではあまり広く知られていません。

それは「物理医学」に対する認識に低さが背景にあるからです。

 

 

物理医学科について

AKAの開発者である博田節夫医師は、整形外科というよりは物理医学の専門家です。

しかしながらAKAそのものは、整形外科医の中で多く使われています。

では「物理医学」とはなんなのでしょうか?

 

実はここに日本の医療体制の不思議なところがあるのです。

 

世界の標準的な医療は、処置の仕方によって3つの分野に分類されています。

  • 内科:主に投薬
  • 外科:主に手術
  • 物理医学科:主に物理的手段を使う

物理医学科は英語表記にすると、「PhysicalMedicine & Rehabilitation;PM & R」となります。

日本語では、物理医学とリハビリテーションとなります。

しかしながら日本では、物理医学科という科は病院でほとんど見ることがなく、リハビリテーション科という名称を多く見られます。

ここが日本の医療の特異性を表しているといってもいいでしょう。

 

そもそも物理医学とは、医療を内科でも外科でもない「物理的な手法で」治療することが基本となっています。

物理的な手法というのは、古来から存在する「温熱」「冷却」「マッサージ」などで、のちに「放射線」も含まれることになります。

放射線を扱う部門は放射線科となって独立し、それ以外が物理医学科になります。

 

さらに「治療したのはいいが後遺症が残ってしまった患者」を対象にした「医学的リハビリテーション」という概念が生まれ、物理医学と合わさりPM & Rと確立されます。

医学的なリハビリテーションでは、物理医学で用いる技術が役立つからです。

物理医学は、内科や外科と比べ治療に時間がかかることが大きため、そのための専門職として理学療法士や作業療法士が生み出されました。

理学療法士は日本ではリハビリテーションに関わる資格として認識されていますが、本来の意味では物理医学とリハビリテーションすべてに関わるものなんですね。

 

このような日本医療のねじれ構造についてAKA開発者である博田節夫医師は、すでに1988年の雑誌「総合リハビリテーション16巻8号」での寄稿で警笛を鳴らしています。

 

 

関節ファシリテーション(SJF)が生まれた背景

AKAはとても素晴らしい技術です。

しかしながら、博田節夫医師と共同開発した理学療法士である宇都宮初夫氏は、問題の根本は「仙腸関節」ではなく「腰仙関節」にあるのではないか、という疑問を持ち始めます。

 

関節のことを研究すればするほど、腰仙関節の可動域の低下による関節機能障害の状態と、仙腸関節の可動域低下によるそれとはまったく違ってきたからです。

 

そもそも仙腸関節の可動域はそれほど大きくはなく、どちらかといえば、重力に対するせん断力を伝えるためにある程度強固である必要すらあります。

しかし腰仙関節の可動域は前後17度ずつ合計34度必要であり、その低下によって発生する関連領域の不調は明確でした。

 

そこで宇都宮初夫氏は、関節の適応を「滑膜性の関節」だけとしたうえで関節機能障害とそれに関連する症候領域を発見し、2000年代に入って新たな技術を開発しました。

それが関節ファシリテーション(Synovial Joints Facilitation; SJF)です。

この「Synovial」というのはm「滑膜性の」という意味で、結合組織性の関節とは区別しています。

 

これによって理学療法や作業療法でつかう「運動療法技術」のひとつとして確立されました。

 

ただし残念ながら、関節ファシリテーション(SJF)は学校で教えられるような技術ではないため、学ぶ意欲のある理学療法士・作業療法士しか習得できないものとなっています。

テキストは市販されていますが、熟練するためにはそれなりの努力が必要なため、すべての有資格者が使えるわけではありません。

 

 

関節ファシリテーション(SJF)の基本的な考え方

関節ファシリテーション(SJF)は、滑膜性の関節の機能障害を改善させる技術です。

滑膜性の関節というのは、簡単にいえば動く関節のことで、その関節を包んでいる関節包の中での細かな動きを出すことで機能障害を改善させています。

その具体的な理論は、関節面における潤滑理論という生物学的な知見を背景にしています。

 

とてもわかりやすく解説するなら、関節面を最適に近づけて動かすことによって、関節包内の状態を最適に保っているのが、関節ファシリテーションの基本的な考え方です。

これがすべての滑膜性関節に応用できるので、骨盤だけではなく全身の関節機能障害へのアプローチが可能になってくるのです。

 

 

まとめ

AKA博田法と関節ファシリテーション(SJF)について解説し、当院でおこなっている「骨格矯正」との関連性について説明しました。

今回はすこしばかり学術的な話になってしまい、わかりにくい部分もあったかもしれません。

それでもあえてこの記事を書いたのは、かわむら整体院の理念が背景に含まれているからです。

 

かわむら整体院では、多くの人の健康に貢献することを基本的な理念としています。

僕の技術は理学療法技術をベースとしたものですが、普通に医療機関で働いている限り、日本の医療制度ものとでは「痛みを抱える多くの人」に関わることはできません。

さらにいえば、五島で関節ファシリテーション(SJF)を使える医療技術者は、【ほぼ存在しない】といっていいでしょう。

 

このような背景で僕の理念を追求するために、「五島」で「医療機関ではない民間」として、専門技術をベースとした整体院を開いたのです。

 

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