かわむら整体院です。

今回は、理学療法士として病院でのリハビリテーションに長年携わってきた経験から、脊椎圧迫骨折後のリハビリテーションというテーマで解説したいと思います。

 

脊椎圧迫骨折とは?

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)という病名をご存知でしょうか?
これは骨がもろくなってしまう病気で、年齢が高いほど、特に閉経後の女性に多くみられるといわれています。

脊椎圧迫骨折は、この「骨粗鬆症」の患者さんに起こりやすいといわれている「背骨のつぶれ」のことをいいます。

脊椎が脆い状態で不意にちょっとした衝撃が加わることで、脊椎がつぶれたようになります。

この衝撃には次のようなものがあります。

  • 高いところから転落する
  • しりもちをつく
  • 段差を踏み外す
  • くしゃみをする

脊椎がもろければ脆いほど、下位の項目でも圧迫骨折を起こしやすくなってきます。

 

脊椎(せきつい)というのは「背骨」のことを表し、圧迫骨折(あっぱくこっせつ)というのは、脊椎がつぶれた状態を示しています。

一般的に骨折というと、足や腕の骨が「ポキッ」と折れた状態をイメージするかと思いますが、背骨の場合は、その形状から「ポキッ」通れるのではなく、「クシャッ」とつぶれたようになります。

このつぶれたような状態を「圧迫骨折」と表現しているわけです。

マメ知識

ちなみに英語では、一般的な骨折を「Fracture」、圧迫骨折を「Commpression」と表現しています。

つぶれた脊椎の場所によって、「腰椎圧迫骨折」「胸椎圧迫骨折」などといった疾患名がつくことになります。

 

脊椎圧迫骨折の処置はどのようなことをするか?

医療的処置に関しては医師の判断によるものなので、この記事上では具体的な解説は致しかねます。

あくまでも一般的な対処法として解説すると、脊椎圧迫骨折に関しては「骨がくっつく」のを待つというよりは、「背骨が安定する」のを待つのが基本方針となってきます。

手や足の骨が折れた場合、適切に骨つぎをして適切に固定していれば、自然治癒力によって時間とともに骨ががくっついてきます。

しかし脊椎圧迫骨折の場合、骨がつぶれた状態なので適切な骨つぎというものが困難になってくるのです。

あまりにも重症の場合は、つぶれた脊椎の上下を金属で固定するような大手術が検討されるかもしれませんが、そうでない場合は、体型にあったコルセットを作成することで、脊椎のズレを防いで安定するのを待つような処置になるかと思います。

安定というのは、つぶれた脊椎が元どおりの形に戻るという意味ではなく、脊椎周りの筋肉やじん帯や関節包などの組織が、背骨の動きを安定させ、脊髄神経に害を及ぼさないような状態になる、という意味です。

この作業はやはり「自然治癒力」によるものなのですが、その進み具合には個人差もありそれなりに時間もかかるために、体型に合わせて作成したコルセットを着用しておく必要があるのです。

 

脊椎圧迫骨折後のリハビリテーションの考え方

大前提として、リハビリテーションの基本的考え方は「早期現状復帰」です。

いいかたは難しいかもしれませんが、カンタンにいうならば、「できるだけ早く退院して元の生活パターンに戻ること」を大きな目標として掲げているということです。

入院が長引くほど「早期現状復帰」の時期も伸びますので、早期退院をいかにして進めていくのかが重要になってきます。

そこで重要な役目を持つのが、理学療法士のようなリハビリテーションに携わる専門職となってくるわけです。

 

病院のシステムによって流れが変わるかもしれませんので、ここからはあくまでも私が在籍していた総合病院でのリハビリテーションの流れについて解説したいと思います。

 

まず脊椎圧迫骨折で入院が必要と診断されたらすぐに、理学療法の処方が医師からだされます。

処方箋を受け取った理学療法士は、レントゲンなどで患者さんの状況を確認し、骨折部位を把握するとともに義肢装具士と連携をとります。

義肢装具士の作成するコルセットが完成しなければ、ベッドからの離床許可が出ない可能性が高いからです。

その上で病室で実際に患者さんの状態を確認します。

  • 痛みの有無
  • 感覚の有無、しびれの状態や範囲で神経へのダメージを確認
  • 呼吸状態などの確認
  • 会話が正常にできるか
  • 足は上がるか、つま先は動くか
  • お尻は持ち上げることができるか
  • 腕の筋力の程度
  • お腹の筋力の程度
  • 寝返りはどこまで可能か

 

これらのことを踏まえた上で、コルセットが完成するまで必要な理学療法をベッドサイドでおこなうことになります。

 

コルセットが出来上がったら、おおまかな動作訓練が始まるため、その前に筋力低下や関節機能障害が起きないような準備的な理学療法を実施することになります。

  • 寝返り
  • 起き上がり
  • 立ち上がり
  • 歩行
  • トイレ動作
  • 家事動作

これらの動作や運動をすることが、退院して自宅で生活する上では大切になってくるからです。

 

基本的に圧迫骨折以外のとこで関節機能障害が起きると、いろいろな部位で骨折に関係のない痛みなどの症状が出やすいために、全身の状態を確認することは必須項目となってきます。